矯正歯科とは?


矯正歯科というと、一般的には「悪い歯並びをきれいに整えること」を言いますが、ただ歯並びを整えるだけの治療ではないのです。
矯正したことによって、よく噛めて消化を助ける効果や、見た目を気にせず「自信」が持てるようになるなど、身体全体の健康と精神的な幸福さを与えることも、矯正歯科の大きな役割と言えるでしょう。
歯並びは他の病気と異なり、突然悪くなることはありません。
乳歯列の頃(小児)から永久歯の交換時期に、顎骨の成長のアンバランスから力が加わって生じます。
小児期から咬合育成を定期的に管理し正常な発育の手助けをする事で、できる限り歯を抜いたりせずにキレイな歯列を目指しましょう。
小児の矯正治療


子供の矯正は、歯が生えるための顎の成長を促す「第一期治療」と、永久歯が生え揃ってから歯並びを矯正するための「第ニ期治療」と、大きく2つの時期に分けられます。
この2つの時期を段階的にしっかり踏むことで、噛み合わせを整えることができます。
歯が正常に生えるよう、また歯並びや噛み合わせが正しく育つように診ていくことは、将来に向けて大切なことです。
当院では定期健診の経過観察によって、子供たちの口腔の健全な成長をサポートしております。

5歳~8歳頃から始まる矯正治療です。
この時期の子供のお口の中は乳歯のみの時期もあれば、乳歯と永久歯の混在した時期へと状態が著しく変化します。
ですから、咬合誘導により成長に悪影響を及ぼしそうな原因を除去し、歯が正しい場所に生えてくるように管理する必要があります。
虫歯予防、永久歯の誘導、指しゃぶりや爪噛みなどの悪習慣の改善など、しっかり状況を診て対処していくことがとても大切です。
この時期からしっかり管理することで、将来的な矯正治療を行う場合にも、後戻りが少なく安定した歯並びが得られます。
咬合誘導で大切なこと
虫歯予防

いずれ抜けてしまう乳歯だからといっても虫歯になることで、これから生えてくる永久歯へも虫歯の感染リスクが高まります。
また、乳歯は永久歯が生えてくるためのスペースを守る役割も持っていますから、早期に喪失してしまうと、これから生えてくる永久歯に悪影響を及ぼすことがあります。
永久歯の誘導管理

乳歯が早く抜けてしまった場合には、クラウンループやディスタルシューといった特殊な器具を装着し、永久歯が正しく生えてくるためのスペースを確保します。
悪習癖の改善

歯並びや噛み合わせを不正にする悪習癖は多々あります。
指しゃぶり、唇を噛む、爪を噛む、頬杖などの悪習癖が及ぼす問題点を説明し、改善に向けたサポートをします。
床矯正

床矯正は、顎を広げて歯並びを整え、できる限り歯を保存する立場に基づいた矯正方法です。顎を広げるので、成長が止まっていない子供に適した矯正法です。
床装置という入れ歯のような装置を固定源にするのですが、装置の本体はプラスチックのプレートでできており、その内部にスクリューやスプリングがついた構造になっています。このスクリューを回すことで負荷が加わり、ゆっくりと顎を拡大し、歯を動かし、歯並びをきれいにしていきます。
床矯正にとって、顎の成長は大切な要素ですから、できる限り小さいうちに治療を始めることをお勧めしています。(床矯正は4才頃から治療を開始することができます。)
大人の方でも床矯正による治療は可能ですが、顎の成長が利用できないので治療期間は長くなります。
症状によっては床矯正が適用できないことや、抜歯が必要になる場合もあります。
ヘッドギア・チンキャップ
ヘッドギアとは、上顎の前方への過剰な成長(出っ歯)の抑制や、上顎の前歯を大きく後退させたい際に使用する装置です。
奥歯に固定式の装置を取り付け、ヘッドギアにより装置を引っ張ります。
チンキャップとは、下顎の突出や過剰な成長(受け口)を抑制させる装置です。
チンキャップを顎の先端に装着し、ヘッドギアでチンキャップを引っ張ることで後方に移動させます。
取り外し可能な装置ですので、正しい装着方法をお伝えいたします。
どちらの装置も、日頃から根気よく使用し続けることが大切です。

小学校高学年の10歳~12歳頃に歯が生え揃ってから始まる矯正治療で、主にブラケット矯正により、成人矯正とほぼ同じ治療内容を行います。
第一期治療で理想通りに進まなかった問題点を解消することが大きな目的です。
できる限り早めに第一期治療を始めることで、この時期の負担を大きく減らすことができます。
ワイヤー矯正(マルチブラケット法)による治療

第一期治療で改善されない部分の治療のために行います。
基本的にはワイヤー矯正(マルチブラケット法)により、適切な位置に歯を移動し、永久歯の噛み合わせを仕上げていきます。
月に1回の割合で調整のためにご来院いただきます。期間はだいたい1年~3年程度です。
第一期治療の段階を踏んでいることで、抜歯の可能性を低くし、不快感の少ない安定した矯正治療を行うことができます。
また、ブラケットの周りには歯垢がたまりやすいので、適切なブラッシング方法をお伝えします。
これからキレイに整う大切な歯を虫歯にしないよう管理していきましょう。
成人の矯正治療


成人の矯正の場合、顎を大きくすることはできませんので、ワイヤー矯正やマウスピース矯正がメインの治療となります。
大人になると人前に出る機会が増えますから、出っ歯や受け口、八重歯など歯並びにコンプレックスを持つようになり、「小さい頃にやっておけば良かった。」と思うことが多いかもしれません。
年齢を重ねるごとに歯は動きにくくなってきますので、治療期間はかかります。しかし、装置のお手入れや歯磨きなどもしっかりできますので、口腔環境の良い状態のまま、効率的な矯正治療が行えるとも言えます。
マルチブラケット法

矯正治療の中で最も一般的な治療法です。
動かしたい1本1本の歯にブラケット(金属)を接着して弾力のあるワイヤーを通し、小さな力を加えて歯を移動させていきます。
ブラケットやワイヤーには種類があり、歯の動きを見ながら力を調節します。
古くから実績があり、安価で安定した矯正治療が行えます。
リンガルアーチ(舌側弧線装置)
歯の裏側(舌側)に装着する矯正装置のため、通常のブラケット矯正と比べて非常に気づかれにくい治療方法です。主に上顎を広げたり、前歯の歯列矯正に用いられます。
大臼歯をワイヤーの土台とし歯の裏側にアーチ状に這わせます。補助弾線と呼ばれるワイヤーを組み合わせ、動かしたい歯へ直接力を加えていきます。その補助弾線が元の状態に戻ろうとする力により、舌側に傾いた歯を内側から押し出し整えます。
リンガルアーチは想像されるよりも装着の違和感は少なく、ブラケット装置と比べて歯磨きもしやすく、虫歯へのリスクも減少します。
患者様の状況に応じて使い分けますので、全ての方が対象にはなりませんが、比較的取り入れやすい治療法の一つです。
MTM矯正(部分矯正)

MTM矯正は部分矯正とも言い、歯列全体の矯正ではなく、1本~数本の歯を整える矯正治療です。
埋まっている歯を引っ張り出したり(挺出)、歯の位置を移動させたり(歯体移動)、斜めに生えた歯を真っ直ぐにしたり(整直)、歯を回転させたりする治療です。
他の治療の妨げになってしまう場合など、治療後に問題が残る恐れがある場合に行います。
通常3ヶ月~6ヶ月程で歯を整え問題を改善することができます。
その後、保定装置を装着し安定させます。
MTM矯正の後にインプラントを行う場合は、保定期間を設けず治療を進めていきます。
当院の矯正治療の流れ
ステップ1 初診・カウンセリング ![]()
何が問題で、どのような治療がご希望かなど、十分にお話をお伺いいたします。 |
ステップ2 検査と診断 ![]() 模型製作のために様々な検査を行います。
|
ステップ3 治療計画の決定 精密検査により歯周疾患がなければ、治療計画・治療説明を行います。 |
ステップ4 矯正装置の装着 矯正装置を装着し、本格的に矯正治療を開始します。 |
ステップ5 メンテナンス ![]()
治療が終わったら、歯が元に戻らないよう保定装置(リテーナー)を装着します。 |
矯正の必要な歯並び・噛み合わせ

出っ歯
上の前歯が極端に前に出ている状態。
日本人に比較的多くみられる症状です。

受け口
下の前歯が上の前歯より前に出ている状態。
受け口ともいい、横顔がしゃくれたように見えたりします。

すきっ歯
歯と歯の隙間が開いていて、食べ物がはさまりやすく隙間が目立ちます。

乱ぐい・八重歯
歯が重なり合い凸凹の状態。
歯磨きが難しく虫歯や歯周病へのリスクが大きいです。

過蓋咬合
上の歯が下の歯に深くかぶさっている状態。
顔が短く見え、歯の接触で大きく損傷してしまうこともあります。

開咬
前歯を閉じても噛み合わず隙間があいてしまう状態。
食べ物によっては噛み切れないこともあります。

交叉咬合
歯の噛み合わせが部分的に反対になってしまっている状態。
顔が歪んだり(非対称)、食いしばりができない方もいます。
矯正専門医による診断




- 鶴見大学 歯学部 卒業
- 鶴見大学 歯学部矯正科 勤務
- うめざわ歯科医院 開院
当院では、原則として毎月第4日曜日(最終の日曜日)を「矯正歯科の日」として、より専門的な治療を行うために、矯正専門医に来ていただいています。
ご本人はもちろん、お子さんの歯並びでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
【うめざわ歯科医院 ホームページURL】
http://www.umezawa-shika.jp/syouni/index.html